「カチカチ山」

「カチカチ山」


「カチカチ山」:資料

 


「カチカチ山」:記事

「カチカチ山」は、現代の絵本では「悪いタヌキをお仕置きする勧善懲悪の物語」として綺麗にまとめられていますが、江戸時代以前の初期設定(原典)は、現代なら間違いなくR指定がかかるほどの衝撃的な復讐劇です。

覚悟が必要な、その「恐ろしい初期設定」をご紹介します。

1. 衝撃の「ババア汁」事件

現代版では、タヌキがおじいさんの畑を荒らし、おばあさんに怪我をさせて逃げる程度ですが、原典は一線を越えています。

* おばあさんを殺害: タヌキはおばあさんを騙して縛り上げ、あろうことか杵で打ち殺してしまいます。

* サイコパスな追い打ち: さらに恐ろしいことに、タヌキはおばあさんの肉を煮込んで**「ババア汁」**を作り、おばあさんに化けます。

* おじいさんに食べさせる: 畑から帰ってきたおじいさんにその汁を食べさせ、完食したところで「お前の食ったのはババアの肉だ!」と嘲笑いながら山へ逃げ去ります。

2. ウサギは「正義の味方」ではなく「冷酷な執行人」

おじいさんの嘆きを聞いて現れるウサギも、現代のような可愛いマスコットではありません。

* 徹底的な拷問: ウサギが行う「カチカチ山(火あぶり)」や「カラシを塗る(化学火傷)」、「泥舟(溺死)」は、単なるいたずらではなく、明確な**「処刑」**のプロセスです。

* タヌキの絶叫: 泥舟のシーンでは、沈みゆくタヌキに対してウサギは憐れみを見せるどころか、船を漕ぐ櫂(かい)でタヌキの頭を叩き割り、確実にとどめを刺すという描写が一般的でした。

3. なぜこんなに過激だったのか?

この物語には、当時の倫理観が強く反映されています。

* 「敵討ち(かたきうち)」の正当化: 江戸時代、肉親を殺された者が復讐を果たすことは、社会的に認められた「美徳」でもありました。

* 非情な自然界: 当時の人々にとって野生動物は身近な脅威であり、自然界の厳しさや「やられたらやり返す」というシビアな因果応報が、娯楽の中にリアルに組み込まれていたのです。

余談:太宰治版の「カチカチ山」

ちなみに、文豪・太宰治は短編集『お伽草紙』の中で、この話を独自の視点でリメイクしています。

* ウサギを**「冷淡な美少女(16歳)」、タヌキを「彼女に恋をして翻弄される醜い中年男」**に見立て、男の愚かさと女の残酷さを描いた恋愛心理劇に仕立て上げました。これもまた別の意味でホラーです。

昔話の「闇」は深いですよね……。